外国人の単純労働が許される?特定技能の在留ビザ
2019年4月1日から、日本語の能力のN4以上の力を持っている外国人の方の就職の機会が増えることになりました。
「特定技能」ビザは、日本語の能力がN4レベル以上で、14の業種のさまざまな仕事に就くことができるようになります。
N4レベルは、基本的な日本語を理解することができるレベルで、基本的な単語や漢字を使って書かれた文章を読んで理解することができれば大丈夫です。
日常生活の中で基本的な単語で話してもらえば、内容がほぼ理解できる水準です。新設の日本語能力判定テストも、このレベルで実施されます。
日本語学校などで、300時間学べば到達できるレベルになっています。
日本に留学生として来て、勉強している外国人であれば、ほぼすべての人が到達できるレベルなので、卒業後の就職に大きな道が開かれました。
2019年4月1日から「特定技能」ビザに変更できるのは、次の14業種です。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電気・電子情報関連産業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料製造
- 外食業
上記の14業種に就職するためには、日本語のN4レベル以上を証明するだけでは足りず、各業種において実施される特定技能評価試験に合格しなければなりません。
ただし、今まで「技能実習生」として該当する業種の分野で3年間働いて修了証を持っている外国人の方は、日本国内在住か海外に戻っているかにかかわらず、スポンサー企業が見つかれば日本の「特定技能」ビザを取得して働くことができます。
特定技能評価試験は、職種によってかなり難易度が上下します。
比較的合格しやすいのは、ビルクリーニング、飲食料品製造、外食業になると思われます。
特に、留学生時代にアルバイトで外食業の勤務経験のある外国人の方であれば、内容的に難しくなく、学校卒業後すぐに就職できる可能性があります。
この「特定技能」については、日本語要件と技術水準の要件を満たしてしまえば学歴を問われることもないので、やる気のある外国人や日本での生活を夢見る外国人には、理想的なビザ(在留資格)です。
留学生に興味のある業界の「特定技能評価試験」を受けて合格してしまえば、日本語能力の自信のある外国人留学生は、日本に残れる可能性が広がることになります。
ただし、「特定技能1号」というビザ(在留資格)では、5年までしか日本にいることができません。よって、それ以上の日本滞在を希望する場合は「特定技能2号」が設けられている業種を選ぶか、他のビザ(在留資格)への変更をすることが必要です。
「特定技能」ビザを取るためにはどうすればよいか
「特定技能」のビザを取得するためには以下の資格を取る必要があります(注意:特定技能のビザを取得することで日本で特定技能の特定の仕事で働ける資格を得ることはできますが、日本で自由にどこでも働けるということではありません。実際に働くためには資格に合った受け入れの雇用主を見つける必要があります)。
- 日本語能力判定テストに合格するか、日本語能力試験のN4以上(N1~N5まであり、N1が一番上級となる)に合格する必要があります。
日本語のN4レベルは、全く日本語を学習したことのない外国人が300時間勉強すれば到達できるレベルです。頑張って1日7時間学習すれば、1ヶ月半で到達できます。どのような問題の難易度かは、インターネットで次のページにアクセスすれば、日本語試験の内容が理解できます。https://www.jlpt.jp/samples/n4/index.html
なお、2019年4月からは、独立行政法人国際交流基金を実施主体として、日本語能力判定テストが行われます。
実施は年6回の予定で、日本の他に9ヵ国で実施されることになっています。- ベトナム
- フィリピン
- カンボジア
- 中 国
- インドネシア
- タ イ
- ミャンマー
- ネパール
- モンゴル
他国に在住の外国人は、日本で受けるか実施国で受けることで日本語能力を証明するか、より幅広く実施されている日本語能力試験でN4以上の実力を証明するしかありません。
- 外国人は、自分が働きたいと思う分野で「特定技能」の在留資格に該当する14業種の区分の中にある技能評価試験に合格する必要があります。
現在、「特定技能」のビザを取得手切る業種は、以下の14業種です。業 種
実施言語
技能評価試験の
内容
1 介 護
現地語
学科のみ
2 ビルクリーニング
日本語
実技のみ
3 素形材産業
現地語
学科・実技
4 産業機械製造業
現地語
学科・実技
5 電気・電子情報関連産業
現地語
学科・実技
6 建 設
日本語
学科・実技
7 造船・舶用工業
日本語
学科・実技
8 自動車整備
日本語
学科・実技
9 航 空
日本語
学科・実技
10 宿 泊
日本語
学科・実技
11 農 業
現地語
(一部は日本語)
学科
12 漁 業
日本語
学科・実技
13 飲食良品製造業
現地語
学科
14 外食業
現地語
及び日本語
学科
それぞれの分野で2019年4月以降に技能評価試験が行われますので、自分が今まで勉強してきた分野や得意な分野、さらには母国でやってきた仕事の分野にチャレンジしてください。
特定技能ビザで働くために
- 日本語の能力試験に合格する。
- 日本で働くために、対象となる技能評価試験を受け、合格する。
- 日本で直接雇用してくれるスポンサー企業(雇用主)を見つける。
- 日本のスポンサー企業が、在留資格認定証明書交付申請をする。この際に、1と2の合格証明書が必要です。
- 日本のスポンサー企業から在留資格認定証明書が届く。
- 母国の日本大使館または領事館で、査証(ビザ)の手続きをする。
- 査証と在留資格認定証明書を持って、日本で入国審査を受け、在留カードの発行を受ける。
- スポンサー企業の元で、労働がスタートする。最大5年まで滞在可能(「特定技能1号」の場合)。
- 「特定技能2号」が設けられた職種に該当する場合は、5年就労後に変更申請が可能となり、将来、永住権への道も開けます。
大きく切り分けると1~3、6は個人が行う必要があり、4、8は企業が行う必要があります。
「特定技能」の在留資格を持つ、外国人のためのサービス
特定技能の在留資格を持つ外国人のために雇用主や登録支援機関(特定技能14業種ごとに決められた機関)や国が一定基準のサービスを行うことが決まっています。
- 日本入国前の生活ガイダンス
- 日本入国時の空港への出迎え及び帰国時の空港への見送り
- 保証人となること、その他の外国人の住宅の確保に向けた支援の実施
- 預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約などの生活支援
- 生活のための日本語習得の支援
- 生活や仕事に関する相談、苦情の申し出
- 日本で行わなければならない各種行政手続についての情報提供及び支援
- 外国人と日本人の交流会等への参加
- 雇用主の都合で雇用契約を解除されてしまった場合、他の雇用主探しのための支援
業務を依頼できるのは登録支援機関として認定されていること
特定技能は個人の努力で日本語能力試験と技能評価試験に合格し、就職する日本の企業を見つけ、その後に採用先である日本の企業等が特定技能の在留資格認定証明書を申請しその証明書を得た後に各国の日本大使館でビザの取得という流れとなります。
日本で就職した後も企業側は採用した外国人について一定のサービスを行うことが必要とされています。採用にあたっても厳格な採用基準を守り続けることが必要となります。
尚、会社等が特定技能の在留資格の業務について依頼(契約)できる業者は登録支援機関として法務省に登録されている必要があるとされています(手続根拠:出入国管理及び難民認定法第19条の23第1項(平成31年4月1日施行))。
代表社員行政書士佐藤正巳は登録支援機関としての認定が完了しております(2019年7月5日登録、登録番号19登-01006)。
特定技能在留資格者の採用等の手続が不明な点についてはメール等でお問い合わせください。
参照サイト:外国人雇用のための在留資格の基礎知識